肝炎対策基本法の成立

ウィルス性の肝炎患者を救済する「肝炎対策基本法」が、衆参両院でで可決・成立しました。

 

当初は与野党一致して衆院で可決・成立しましたが、参議院では他の国会審議の調整がつかず、野党自民党は欠席したまま(本会議に先立つ厚生労働委員会では自民党も出席し可決)の採決となってしまいました。

肝炎対策基本法、前文

基本法は前文で「今日、我が国には、肝炎ウイルスに感染し、あるいは肝炎に罹(り)患した者が多数存在し、肝炎が国内最大の感染症となっている。肝炎は、適切な治療を行わないまま放置すると慢性化し、肝硬変、肝がんといったより重篤な疾病に進行するおそれがあることから、これらの者にとって、将来への不安は計り知れないものがある。

 

戦後の医療の進歩、医学的知見の積重ね、科学技術の進展により、肝炎の克服に向けた道筋が開かれてきたが、他方で、その過程において、肝炎ウイルスに感染するという不幸な出来事が生じたことは事実である。さらに、現在においても、早期発見や医療へのアクセスにはいまだ解決すべき課題が多い。また、肝炎ウイルスや肝炎に対する正しい理解が、国民すべてに定着しているとは言えない。

 

このような現状において、肝炎ウイルスの感染者及び肝炎患者の人権を尊重しつつ、これらの者に対する良質かつ適切な医療の提供を確保するなど、肝炎の克服に向けた取組を一層進めていくことが求められている。

 

ここに、肝炎対策に係る施策について、その基本理念を明らかにするとともに、これを総合的に推進するため、この法律を制定する。」と謳われ、国の責任であることが明確になっています。

 

肝炎対策推進協議会

ただし、厚生労働省内に「肝炎対策推進協議会」を設置して肝炎対策に国を挙げて取り組む方向性は明確にされましたが、肝炎患者に対する「適切な医療」や患者の経済的な負担については、理念先行で具体案にはなっていません(総論的な法律ですし、地方自治体ごとの課題でもあるため止むを得ない面もあります)。

 

しかし、当時の医療知識水準として予期し得なかったこととはいえ、予防接種や薬害による蔓延が国の責任ともいえることに言及しているという点で、画期的な法律だといえます。

 

法の精神が具体策として結実するか否かはまだまだこれからの課題であり、肝炎患者をはじめ国民が具体的施策を求めていかなければなりませんが、解決のための第一歩に対し拍手したいと思います。法案の可決・成立のために奔走し、いわばそのために議員になった福田衣里子さんの努力に敬意を表します。


 
 
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