C型肝炎の感染

C型肝炎はB型と同じく血液によって感染します。感染力はB型ほど強くありませんが、殆どの場合(約80%)慢性肝炎になります。また、そこからの進行パターンがほぼ決まっていますので、自分の現在の状態を照らし合わせると、いつごろ感染したのか特定できます。

また、かつては医療従事者であってもウィルス感染に関する知識が低く、注射器なども針先をアルコール綿で拭くだけで、複数の患者に回し打ちをしていました。肝炎ウィルスは加熱滅菌消毒をすれば死滅しますが、アルコール綿で拭くだけでは死滅しません。

さらに点滴なども同様ですし、ウィルスに汚染された血液の輸血は体内にウィルスを注ぎ込んでいるようなものです(現在ではそんなようなことはありません)。

ヒロポンと売血・刺青

かつてはいわゆる「売血」が盛んに行われていた時代がありました。こうした「売血」をする人の中にはヒロポンと呼ばれる覚せい剤(当時は合法でした)常用者が多く、ヒロポンを注射するために注射器を共用したり、薬(ヒロポン)を買うために「売血」をしていた(その血液が輸血に使われ、さらに感染を蔓延させた)、というイタチごっこが背景にあります。

また、当時は刺青をすることにもあまり抵抗がなく(現在再び若い人の間でタトゥと呼ばれ抵抗なく刺青をするような風潮がありますが)、使用する針を共用するところからも感染が広がりました(現在はそんなことはありません)。

輸血、予防接種による感染

輸血を受けた経験のある人は積極的にC型肝炎の抗体検査を受けるべきだといわれるのは、このためです(現在では輸血のための血液は採血の時点で検査済みですので、輸血から肝炎ウィルスが体内に侵入することは殆どありません)。感染時期を知ることが重要だといわれるのはこのためです。

昭和30年代までの予防接種も同様です。冒頭に述べたように当時は注射針の先をアルコール綿で拭くだけで、子供たちに次々に回し打ちをしていたことも感染原因の一つと考えられています。

C型肝炎の場合、(初期の段階では)自覚症状が殆どないため(昔の輸血経験や、子供時代の予防接種のことなど忘却のかなたであることが多いため)、C型肝炎に感染しているのに自覚していない潜在患者が多い原因もここにあります。予防接種による感染はB型肝炎も同様です。

非加熱製剤による感染

輸血からの感染で本人にもあまり自覚がないのが、出産時に出血量が多めであった場合、母体に「非加熱血液凝固因子製剤」「フェブリノゲン製剤」を投与していた時期があることです。

出産時であり、出血多量の状態ですから本人が預かり知らないところで治療として非加熱製剤が当然のように使われていました。

当時はC型ウィルスはまだ発見されていませんでしたが、輸血後に肝炎を発症することから「輸血後肝炎」と呼ばれたり、A型でもB型でもないウィルス性肝炎というところから「非A非B型肝炎」と呼ばれていました。

医原病

C型肝炎感染原因の約40%は輸血によるものです。それ以外の約60%のうち、非加熱製剤によるものと、覚せい剤の乱用による注射針の回し打ちや刺青などによる感染が約10%、それ以外はごく一般的な医療行為であると推測されます。したがってC型肝炎は典型的な「医原病」です。

しかも、ウィルスが特定されていなかったとはいえ、既に薬害エイズ問題が顕在化しており、輸血後に肝炎を発症する例もあり、輸血血液および非加熱製剤があやしいことは充分推測可能であったわけです。

それを放置もしくは隠蔽しようとしていたのですから、現在にも至る肝炎訴訟は当然の帰結だったといえるでしょう。


 

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